ミニブック『たまご』に込めた思い
こんにちは。ミニブック作家まめのはです。今日は、手製本を始めて一番最初に完成した本『たまご』について語りたいと思います。
この本ができたきっかけは、ある息子の言葉でした・・・。
息子は、小さい頃から周りの子どもたちと違っているところがありました。多動と衝動性で目が離せませんでしたが、ひとつのことに夢中になると、一生懸命で、信じられないくらいの集中力を発揮して、まぶしいほどキラキラしていました。わたしは、そんな息子の個性であり特徴を受け入れていたし、もちろん大変なこともありましたが、他と違っているって素敵なことだと考えていました。
けれど、小学校に通うようになり、その特徴は、個性ではなく、障害に変化しました。理解されない環境、協調ではなく同調を重んじる環境が、彼の“特徴”を“障害”に変えてしまったように思います。
学年が上がるにつれ、息子はどんどん孤立していきました。学校に毎朝のように行き渋るようになりました。
そんなある日、迎えの車の中で、彼は言いました。
「ぼくは必要ないんだ」
涙を必死でこらえる息子のとなりで、悲しみと同時に、悔しさや怒りの感情が込み上げました。
「そんなはずない。あなたは必要だよ。少なくともわたしにとっては、大切な必要な存在だよ。そして、同じように思っている人は、たくさんいるよ」
心の中でそう繰り返しながら、わたしは家に着くと、すぐにひとつの詩を書きました。それが『しろみのきもち』です。そのうち、物語『ぞうのわすれもの』と新たな詩『きみはきみ』も生まれました。
教室という小さな小さな世界から一歩踏み出せば、きっと君を受け入れてくれる広い広い世界があるはず。ありのままの自分でいられる“環境”や“人”を見つけられるようにと願いを込めて、ふたつの詩とひとつの物語を綴じ込めた本、それが『たまご』です。
この本を通じて、息子と同じような思いをしている人たちの心に小さな光を灯せますように。そして、たくさんの人たちが考えるきっかけになりますように。
☝️ミニブック『たまご』の中の、創作絵本『ぞうのわすれもの』より。
手製本ミニブック『たまご』は、下記リンクより、まめのは堂にて販売中。